ディズニー装飾品に金メッキ加工を施す

ディズニー装飾品左側金メッキ
ディズニー装飾品右側3Dプリンター製作物

今回のお話は東京ディズニーランド内部で使用している装飾品に最近メッキ加工を施して欲しいと言う業者様からのご相談が御座いました。写真左側は金メッキ加工を既に施していますが、表面は少し傷が有り裏面はご覧の様に金メッキが剥がれている箇所と波打つ様な金メッキ膜が存在します。この金メッキ加工を施した装飾品は弊社で施工した物では無く、違う工場で加工依頼された物です。この2枚は共に3Dプリンター製作したワンオフ物だそうです。素材はABSライクと言う物を使用しています。表面は既に3000番研磨しています。業者様にお聞きするとディズニーシーで海水が付着してこの様に金メッキが剥がれたり、しわが付いたとのご説明をされていました。1枚は最近メッキ加工を施す。2枚目は3Dプリンターで新たに製作して表面と裏面を綺麗に、しかも見栄えが長持ちすると言うご依頼です。それでは見栄えのクオリティと海水が当たっても腐食しにくい製品にする為の加工方法をご紹介させて頂きます。まずは左側の金メッキ装飾品ですが専用の剥離剤で表面と裏面、側面、細部にわたって丁寧に剥離致します。この装飾品の金メッキ加工の以前の方法は乾式メッキ加工による金メッキ加工ですので、ABSライク表面にはアンダーコートと言う透明ビニールが付着しています。このコートは意外と剥離が難しいです。上からトップコート、金メッキ、アンダーコートの3層を完全剥離しなければいけません。これは湿式メッキの層とは異なります。同じ剥離剤では完全剥離が出来ません。次にABSライク全面を丁寧に磨きます。そして導電塗料を使用してから銅メッキ加工を施します。続いてニッケルメッキ加工、18金メッキ加工を施します。基本的に電気メッキ加工で分厚い金メッキを施したとしても必ずトップコートで保護膜を形成しなければいけません。カラーメッキもその部類です。クロムメッキはトップコートは必要御座いません。(自動車の一部グリルにはトップコートを使用致します。)今回の装飾品は海水が当たる箇所に設置しますので通常の厚みのトップコートでは長持ち致しません。この作業は自動車の塗装従事者が行う作業となります。続いて右側の3Dプリンター新品未使用品に金メッキ加工を施す方法ですが、メッキや塗料などは付着していませんので、剥離剤を使用する必要は御座いません。と言う事は加工賃の左側よろもお安くなります。加工日数も少し早くなります。施工方法は前者と同じです。気を付けなければいけない事はトップコートを綺麗に分厚めに加工する事につきます。この作業を行ったとしても10年ももつものでは御座いません。海水は全ての物質を腐食させてしまう程、酸が強く様々な物質が混ざっております。これらが装飾品に付着してそのまま手入れせずにほっておくと当然表面から腐食が始まり、次第にABSライク自体に浸透して腐食していきます。出来れば自動車やバイク、トラック部品にガラスコーティング剤やノンコンパウンドのワックスで手入れするのと同じようにしなければいけません。海水を侮ってはいけません。弊社は水上スキー部品やボート部品にクロムメッキ加工を施しておりますので海水がかかる部品には慣れております。