メッキ加工でヤマハJZエンジン用タペットカバーを綺麗にする
2019年11月13日
上の写真はトヨタ自動車がヤマハに製造依頼して誕生したJZエンジン用タペットカバーです。1990年過ぎからチェイサー等に積んでいた物でご覧の様に腐食がかなり進んで2500、ターボのロゴが消えかけています。素材はアルミニウムダイカストで製造されて、内部にはスチール製の板で張り付けされています。当然タペットカバー内部は油が付着しております。今回のお客様は旧車でレーシングカーを製作されている業者様で様々な自動車から元気なエンジンを他の自動車に移植してレーシングカーを製造されています。チェイサーのエンジンを他の旧車に乗せ換えるのに、このタペットカバーを綺麗に光沢を出したいと言うご希望です。ご覧の様に年数が30年程しか経っていないにも関わらず、かなり酷い経年劣化具合で中々手ごわい部品です。余談ですがタペットカバーやバイクのポイントカバー等に用いられるアルミニウム製ダイカストはスチール素材の様な経年劣化の見栄えでは御座いません。アルミニウム表面の錆はご覧の様な白っぽい粉が噴出して表面がボロボロになったり、青錆が出たり致します。スチール製部品が経年劣化しても上の写真の様な状態にはなりません。スチール製部品の経年劣化で見られるのはスチール独特な錆で黒い物が浮き出したり剥がれたり致します。素材の特性上この様な錆の違いが御座います。それではお客様のご要望であるクロムメッキ加工で光沢を出す施工方法をご紹介します。まずはタペットカバーに付着しているロゴマークと錆とめを剥離致します。今回は硝酸を使用致しますが剥離致しますとアルミニウム表面の錆だけでは無く、全体的にアルミニウム表面も溶ける事になります。これもスチールではこの様な事は無く、アルミニウムだけこの様な事になります。アルミニウムは柔らかみを帯びていて素材自体は弱い物です。アルミニウム表面から錆が出ている様な部品は、実は錆が出ていない個所も見えないだけで腐食している事が多くバイクや自動車などのアルミニウム製クロムメッキ部品を再メッキ加工する時に大変この事が良く分かります。これらの事から見ても今回のタペットカバーは剥離したらもっと沢山の腐食痕が確認される事は間違い御座いません。剥離終了後に徹底的にバフで磨きあげます。この作業は削る作業では御座いませんのでかなりの時間と手間がかかり、この様な経年劣化が酷い部品には加工賃が高くなる傾向性が御座います。要するに同じ部品を加工依頼する場合には素材自体の腐食具合に比例すると言う意味です。バフの番手は180番手からスタートして段階を踏んでゆき、最終420番手まで磨き込み致します。因みに鏡面ポリッシュ仕上げの場合は最終番手1000番程度磨き上げ致します。あくまでもバフレースで磨くので市販されている紙やすりで磨いても綺麗にはなりません。今回のタペットカバーは徹底的に追い込んでバフレースしても腐食痕は残る事になります。次に銅メッキ加工を施して2度目のバフ磨きでピンホールを埋めていきますが、腐食痕までの大きな穴は埋まりません。続いてもう一度銅メッキ加工を施してからニッケルメッキ加工を分厚く、最後のメッキ槽であるクロムメッキ加工を施してから完成品を研磨剤で丁寧に磨いて出来上がりとなります。
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